1月27日は思いもよらず、大雪となりました。 午後には止むと聞いていた我々は、10時に会場入りして以降 最後の確認に忙しく、外の天候のことを気にする余裕もなかったのですが、 控え室の窓から見る限り、かなりの大雪であることはよくわかりました。 そんな「大雪警報」のなか、遠くから聴きに来て下さった 大勢の方々には、感謝の言葉もありません。 たいへん有り難うございました。 開演15分前、舞台の袖で、ホールと受付のモニターを見ると、 いつもと比べ、皆さまのご来場も少な目で、まあこの雪だもんなあ、 もし半分しか埋まってなくても、来て下さった方に心を込めて歌おう、 という合意のもと、ステージ上手より入場しました。 そしたら何と、9割近くも席が埋まっているのに、感動しました。 たいへんうれしく、かつ緊張が高まりました。 その後の2時間はあっという間にすぎ、 アンコールののち、ロビーでのお見送り、ロビーでの1曲のあと、 軽いけだるさと大いなる充足感につつまれました。 また、来て下さろうとしたのに、道路事情や交通事情で 来られなかった皆さまも、大勢いらっしゃると聞きました。 悪天候はたぶん我らのせいではないのですが、申し訳ありませんでした。 次回は必ずや来て下さいね。 (以上、ある団員の感想、でした。) ご挨拶 帆船日本丸男声合唱団は、横浜の汐風につつまれ、7年の間すくすくと育ってまいりました。おかげさまで、多くの方々にも存在を認められるようになりました。日本の合唱団にはなかなか難しい、「明るい歌」をおおらかに歌いとばせる合唱団を目標に、練習といいレパートリー作りに励みます。 皆様の応援を心の支えとして、より良い合唱団を目指します。 主宰 大 町 正 人 ほぼ2年ぶりの定期演奏会となる今回のコンサートを前に、われわれは大いに意気込んでいます。それは、譜面を外しての挑戦だからです。それに向けて十分に練習をしたつもりですが、緊張のあまり頭が真っ白になるのではないかという心配もあります。 しかし、やることはやったという自信を背景に、頑張ります。 合唱団団員一同 日時 2000年1月27日(土) 14時開演 会場 横浜みなとみらいホール(小ホール) プログラム 第一部 日本民謡 指揮 小林正明 そうらん節 網起し音頭 音戸の舟唄 最上川舟歌 齋太郎節 第二部 中田喜直先生と海の歌 ソプラノ 大町ますみ ピアノ 土田英介 第四章(詩:三好達治) 1.馬車、2.蝉、 3.沙上、4.わが耳は 悲しくなったときは(詩:寺山修司) 岸辺のふたり(詩:武村志保) 海ほうずきと少年(詩:岸田衿子) 第三部 Sea Shanty(小林正明編曲) 指揮 大町正人 Sailing Sailing Blow the Man Down Bobby Shaftoe I've Got Six Pence Leave Her, Johnny Lowlands The Drummer and the Cook Goodbye Fare Ye Well アンコール うみ 遙かな友に ロビーにて いざ起て戦人(いくさびと)よ スタッフ紹介 大町正人 ボニージャックス リードテナー。 ジャパンプログラム代表。 国立横浜国際会議場オープニングイベント「横浜からあしたへ〜子ども合唱祭」、 横浜みなとみらいホール・オープニングシリーズ「横浜児童合唱祭」、 「市民のクリスマスコンサート2000」などをプロデュース。 第1回NHK地域放送文化賞、第17回赤い靴児童文化大賞受賞。 当合唱団主宰。 大町ますみ 東京芸術大学卒業。芸大メサイヤのソリストとしてデビュー。 リサイタル、オペラ、宗教曲など数々のコンサート、 NHK-TVにレギュラーとして出演。 1985年井原西鶴の作品の朗読(三百人劇場)に出演し好評。 以来朗読の分野にかかわりを持ち、ドビュッシー「ビリティスの歌」、 宮沢賢治の作品、詩などの朗読をしている。 作曲家でピアニストでもある土田英介と組んで定期的に行っている コンサートは23回目になる。 大町正人との「大町正人・ますみジョイントコンサート」も 数年の試行を経て本格的に活動を始めた。 二期会会員。日本演奏連盟会員。 当合唱団ヴォイストレーナー。 土田英介 室蘭市に生まれる。 東京芸術大学作曲科・同大学院修了。 在学中長谷川賞受賞。 「管弦楽の為のエッセイ」で第53回日本音楽コンク−ル作曲部門第一位。 「交響曲譚詩」「ラプソディ〜ヴァイオリンとピアノのために…」 「前奏曲〜クラリネットのための」「フルト、ヴィオラ、ピアノの為のトリオ」、 児童合唱と管弦楽のための組曲「あしたヘ」「弦楽四重奏曲」 「子守唄、子守唄よ〜女声合唱のための」、 NHK-BS「人間仏陀の生涯」音楽担当、 「甃(いし)のうへ〜女声合唱のための」「ヴァイオリン協奏曲」 「窓〜混声合唱のための」等の作品を発表。 昨年末、音楽の友社より「バッハ平均律クラヴィア曲集 第1巻 演奏のための分析ノート1」を出版。 意欲的な創作活動のかたわらピアニストとしても活躍。 東京音楽大学助教授、東京芸術大学、同附属高校、桐朋学園大学、 仁愛女子短期大学講師。 小林正明 早稲田大学グリークラブ出身。 男声ヴォーカルカルテット「サニー・トーンズ」でプロになる、 のちに「ブレッスン・フォー」のリーダー。 1985年 古賀政男記念音楽大賞一般部門作曲で優秀賞受賞。 1988年 同最優秀賞受賞。 1991年 グループを解散。 以来、作曲、編曲、合唱指揮などの活動を続けている。 |
シーシャンティとは何か シー・シャンティ(Sea Shanty )又は単にシャンティ(ShantyあるいはChanty)と云います。 シャンティの語源は、フランス語のChanter(唄う)から来ていると言われています。 シャンティは一言で云いますと、船乗り達が船上で歌った労働歌のことです。シャンティの起源は古くは、コロンブスに代表される大航海時代に遡りますが、その全盛時代は、18世紀及び19世紀初めの帆船時代に始まります。前半はイギリスにおいて、後半はアメリカにおいて盛んに歌われたと云います。 基本的には大きく分けて2種類のシャンティがあります。 第一は所謂、労働歌でショート・ドラッグあるいはショート・ホール(帆を広げたり、しぼったりする作業)、ホリヤード(重い帆をマストの上まで持ち上げる作業)、ウインドラスあるいはキャプスタン(錨を巻き上げたり、下ろしたりする作業)と言うように、甲板の作業の内容によって歌い分けていました。 第二はフォークスル・シャンティです。これらの歌は一般に夕方、甲板上の作業がすべて終了し、船乗り達がリラックスする時間に歌ったものです。丁度、船の前甲板の場所に船乗り達の居室(Forecastle)があったことから、この名が生まれました。歌の内容としては、主にバラードとか何か歴史的な出来事を語ったものが多いようです。 勿論、愛、冒険、悲しみ、有名な武将、戦いの歌など、あるいはただ単に平凡で滑稽な歌などがリストの上位を占めたと云われます。 しかしながら、シャンティを歌うことも19世紀後半から20世紀にかけて次第に衰退してしまいます。 何故かと申しますと、この頃には蒸気船が帆船に取って代わったからです。 1.Sailing Sailing 全体が終始力強い調子の、如何にもシー・シャンティらしいHiテンポで明るい曲です。 さあ、錨を上げろ!追い風が吹いている。風下には丁度、良い強風もある。見通しも良い。その前に祖国と美しい女達のために歌をうたって、波踊る大海原を越えた自由の地へ向けて航海だ、と元気に歌います。 2.Blow The Man Down これはホリヤード・シャンティです。当時の船乗りの船上での生活には、鉄拳の掟がありました。“Blow”とは拳やキャプスタン棒、金属の棒などで男を殴り倒すことを意味します。19世紀の中頃、イギリスとアメリカの間をBlack Ballerという定期船が就航していましたが、この船の船長達は揃いも揃って特別残忍なことで有名でした。この歌はこの船の甲板で船乗り達が不当に叩かれる様子を歌ったものです。 3.Bobby Shaftoe “陽気なボビー・シャフトーは海へ出ていってしまった。”で始まる、この歌はマザー・グース童謡集にも収録されている有名な歌です。ボビー・シャフトーは実在の人で、一家はイングランド北部の大変な旧家だそうです。内容は、結婚の約束をして船出した陽気なボビー・シャフトーを想う恋人の胸の内を描いた楽しい歌です。 4.I've Got Sixpence 残念なことに、この歌には詳しい文献や資料がないため、果たしていつ頃からシー・シャンティとして唄われるようになったのかは不明です。しかしながら、有名なイギリスのマザー・グース童謡集の中に、実はこの歌の歌詞に大変よく似た“I Love Sixpence”という歌が収録されています。案外、このシー・シャンティの起源に多少なりとも関連があるかも知れません。こちらの歌詞の内容は、一人の船乗りが僅かばかりの給料を貰った喜びを、まるで王様と同じくらい自分は幸せだと唄う、ウィットとユーモアに富んだ楽しい歌です。 5.Leave Her、Johnny これはキャプスタン・シャンティですが、ポンピング・シャンティとも呼ばれます。 それは船内のアカをポンプで汲み出すために船がドックに入った後、港に停泊中にしばしば唄われたためです。しかもそれは又、船乗り達のつもり積もった日頃の鬱憤を晴らす目的としても役目を果たしました。“Her”は云うまでもなく船を指しています。そして “明日、お前は給料を貰えるんだ、貰ったら船を去る良い潮時だ…”と唄います。 6.Lowlands イギリスの典型的なキャプスタン・シャンティです。遠くローランド(スコットランドの低地地方)に離れていた恋人が、ある晩、突然夢の中に現れますが、いつもと感じや所作が違う上、“あなたとはもう二度と会ってキスもできないし、約束した結婚もできなくなった。”事を告げられて、愛する恋人が既に死んでしまったことを知る、という哀しい挽歌 (Coronach)です。大変美しい歌です。 7.The Drummer And The Cook 典型的なフォークスル・シャンティです。 一人の小男のドラマーがかねて思いを寄せていた、やぶにらみの女コックとやっとの事で結婚にこぎ着けます。 さて、二人が牧師の前で“誓い”の言葉を述べようとしたとき、彼女の一方の目は小男のドラマーをギョッとさせ、他方の目は牧師に色目使いをしたので、小男のドラマーはビックリ仰天したと言うお話です。大変早口で歌われるコミカルな歌です。 8.Goodbye Fare Ye Well このシャンティは船が出航する際など、主にウインドラスあるいはキャプスタン(いずれも巻き上げ機)の付近で、よく歌われました。 寄港地で親しくなった若い娘さん達との哀しい別れがやってきましたが、一方では懐かしい故郷へ帰ることが出来る嬉しさもある、といった船乗り達の複雑な胸の内が見えるようです。どこかもの哀しい、しかし大変美しい曲です。 (日本語解説)宮崎多加雄 参考文献:Lesley Nelson's Folk Music Site, Stan Hugil "Sea Shanties From Seven Seas", Contemplator's Folk Music Micro-encyclopedia,Mother Goose: 70 Nursery Rhymes, Encyclopedia Britanica. |
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